妄想ドライブライターの南雲です。インフルエンザもひと段落したようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。雪国に温かな春の日差しが降り注いでいます。こんな小春日和の・・・あ、それは秋のことか。 春のような陽気のこんな日に、舞い降りてきた妄想はこちら。
『もし、私にこの春高校を卒業して都会へ行ってしまう娘がいたら・・・卒業式の前に一緒にドライブしたい!』 という妄想ストーリーで3月のブログをスタート。南魚沼の酒蔵、八海醸造が作ったひとつの集落のような“さと”である魚沼の里へ。

車の中で娘がつぶやく。『あ~、なんでうちの高校って卒業式が遅いんだろ。もうほかの学校は卒業式終わってるのにさ~。』 なんだかんだ言いながら、楽しい高校生活を送っていたような娘。 私の母校に入ってくれたのも嬉しかったので、卒業式に出ることも実は楽しみにしているのだ。
この春から雪国を旅立っていく娘に、雪の恵みを忘れないで欲しいとの思いから『雪室』のある魚沼の里へのドライブに。まだ未成年のため、お酒は飲めないけれど酒以外の楽しみ方もある場所。

雪室では一日に何度か雪室ツアーを開催している。受付で申し込むと無料で参加することができる。 集合場所はお雛様の前、華やかな店内を眺めながら、ツアーの開始時間を待つことに。

その間、2階にある雑貨コーナーへ走り出す娘。春からの新しい生活をイメージして華やかな模様の食器に心躍っているよう。

私は1階へ。普段当たり前に食べている魚沼産コシヒカリの美味しさを都会で思い出すに違いない。自分が母に送ってもらったように、私も娘に美味しい米を送ってあげたい・・・などと考えただけで目頭が熱くなって。
『時間となりましたので、雪室にご案内いたします。』

雪室内の気温や1000トンもの雪を収容すること、今が一番雪が多いこと、雪を利用してお酒や野菜を貯蔵することにより味がまろやかになったり野菜に甘みが増すことなどを説明いただきながら雪室内を歩いていると、
『毎日、邪魔だなと思っていたこの雪が自然のエネルギーとなって夏も建物を冷やし、食べ物を美味しくてくれるんだね・・・。』 と娘。勉強など嫌いだと思っていたのに、環境についてふむふむと説明を興味深そうに聞いているのが何だか嬉しい。

『これから焼酎蔵へ参ります。試飲もできますよ。』 と案内してくれた方がおっしゃるので、私たちは顔を見合わせていると『甘酒もありますよ。』 と声をかけていただき安心。

砂糖を使っていないとは思えないしっかりとした甘さ。 好きなフルーツや牛乳などで割るレシピなどを頂いて、家でもやってみようかしらと思う。

焼酎が眠っているオーク樽の反対側に、黒い特別な瓶に入れられたたくさんの焼酎が並ぶ。

『これはメモリアル焼酎で面向未来(めんこうみらい)と言います。ボトルにはオリジナルのメッセージを書くことができます。記念撮影もできますよ。』と説明があり、 皆さんの温かいメッセージを読みながら歩いているとこちらまで幸せな気分になったので、試飲に夢中になっている娘に内緒でメモリアル焼酎を申し込んでみた。2年後、彼女が20歳になったら、お盆やお正月に帰ってきたときに一緒にお酒を飲みたいなと思う。

『せっかくだから、記念撮影しようよ~。』と娘に言うと『やだ~。無理~。』と笑いながら逃げていった。数年前まで喜んで一緒に写真を撮ってくれていたのに、大人になりつつあることが嬉しくもありちょぴり寂しい。
それから、つつみや八蔵へ。いつも大切な人に何かを贈りたいときに決まって立ち寄る大好きな場所であり、娘の旅立ちでご挨拶用に素敵な小物がないかしらとの想いから。素敵な水引や和紙の包み紙、まだちょっと早いけれど寿ののし袋など、華やいだ気持ちになってくる。

お天気も良いので、このまま牧之通りへ。ちょうどお雛様のころで4月の上旬ころまで『三国街道塩沢宿 ひな雪見かざり』が開催している。 江戸時代から現代までのお雛様を眺めながらの街歩きが楽しい。

中島屋さんではお雛様とあわせて木喰上人によって彫られた明見菩薩さまが祀られている。微笑み菩薩、抱き仏ともいわれご利益があるのだそうでしっかりと抱かせていただく。 娘が小さかったころ、喘息気味だった彼女を毎晩こうしてだっこしたっけ・・・なぜだか18年も前のことが、ふと思い出され、あっという間に大きくなったんだなぁ、などと思いながら牧之通りの駐車場にふたりで歩いて戻る。

ドライブからの帰り道、私がいつものように鼻歌を歌いながら運転していると、娘も一緒に口ずさんできた。それは、私が大好きな山口百恵さんの・・・今から40年も前の歌で娘が知っているはずもなくびっくりしていると 『お母さん、よくこの歌うたっているもんね。 YouTubeで調べて覚えたんだ。いい歌だね。』 というと、最後の歌詞を丁寧に歌いながら、ちょっぴり照れた娘は、『もう少しあなたの子どもでって。別にまだお嫁に行くわけじゃないしね。またGWに帰ってくるからさ、どこかにドライブ連れて行ってよ。』 と笑う。
母娘ふたりの春ドライブはちょっぴり切なく、そして想い出に残る時間でした。