米処、魚沼に実りの秋がやってまいりました。一面に輝く金色の稲穂。もう少しするとブランド米、魚沼産コシヒカリの新米を食べることができます。
「美味しいお米をもっと美味しくするのは、その土地の水である。」と、妙にこだわりを持つ母と一緒に、魚沼から妻有の名水をドライブかねて旅することにしました。
今回の妄想旅人は、母、娘の2人旅。
娘「魚沼の水は、水道水でも十分美味しいじゃん!」
母「いやいや違う。珈琲やお茶を入れても全然違うんだから。南魚沼産コシヒカリを南魚沼の水で炊いたら最高よ。今日は、私が行くお気に入りの名水スポットを案内するから車に乗って!」と、半ば強引にドライブスタート。
ドライバーは母。トランクには呑兵衛の友人宅からもらった3~4ℓ入る焼酎のプラスチック容器が10本程と2ℓのペットボトルが数本。
まず、訪れたのは日本名水百選にも選ばれた津南町の龍ケ窪。
「船着き場」や「次々と湧き出て潤す」という意味のある「津」を町名に持ち、美味しい水のある町として知られる津南。
日本ジオパークにも認定された苗場山麓ジオパークの見所のひとつに、豊かな湧き水を有する“日本名水百選”の龍ケ窪(りゅうがくぼ)が挙げられています。
新潟県内では長岡の杜々の森湧水(とどのもりゆうすい)と合わせて2か所が名水百選に選ばれています。

豊かな水が湧き出す龍ケ窪には大きな沼がありますが日量4万トンを超える水量で沼の水は1日ですべてが新しく変わるのだとか。
その神秘的な美しさは水くみ人だけではなくカメラマンの心もとらえて離さず、多くのカメラマンでにぎわっていました。
娘「ねえねえ、カメラ持って行っていい?」
母「駐車場から水汲み場まで少し歩くから、大きなカメラは持てないよ。」
水をくむ場所は2か所。
駐車場から徒歩3分ほどに龍の口から流れる水とその先の神社。
神社は入り口からは7~8分歩くでしょうか。母は気合を入れて4ℓ入る焼酎の空き容器を両手に持って歩いていましたが、私は念のためにカメラも持っていたので自分用の今飲む500mlの空ペットボトルだけを持参し「入り口よりも奥の方がご利益ありそう。」と何の根拠もなく奥の神社の水汲み場へ。

帰り道、予想通り重た~いと嘆く母の代わりに4ℓの焼酎のペットボトルを2本ぶら下げて歩いて駐車場まで帰ってきましたが、私たち以外にもペットボトルをぶら下げて帰ってくるご夫婦や家族にも遭遇しました。
龍ケ窪
所在地:新潟県中魚沼郡津南町谷内6217
料金:駐車場協力費(1台200円)
水の汲みやすさ:★(駐車場からの距離が少しあるため)
「この前、Facebookにこの写真アップしたらみんなに褒められたのよ。だからあなたも連れてきてあげたいと思って。」と、母が上機嫌で連れてきてくれたのが、眼病やボケ防止、苦しみなどから救ってくださるありがたいお地蔵様のいらっしゃる見玉不動尊(みだまふどうそうん) 。 確かに豊富な水量を全体で感じる美しい場所。

駐車場をおり、仁王門をくぐって本堂へ上がる途中、豪快に上流部分から流れ落ちる水の音が聞こえてきたので、ふとみると滝が流れ、その手前には“延命水”と書かれた看板と口から水を放つ蛙の石像が。龍は多いけれど、蛙は珍しい気がする・・・はやる気持ちを抑え、ペットボトルを足元に置いてまずは本堂でお参り。
お参りがすんだら延命水の場所にもどり採水開始。
ここでも、駐車場から少し離れているため焼酎のペットボトルは両手に1本ずつ。
謹んで頂くべし。と書かれた長生きの水を汲み、ご利益を頂いてまいりました。


母「ほらほら、素敵なところだったでしょ。」
娘「そうだね、知らなかったよ。」
母「また、来ようね。今日は他にもいろいろな場所があるから、教えてあげる。」
所在地:新潟県中魚沼郡津南町秋成9761
料金:無料(お賽銭にご協力を)
水の汲みやすさ:★(駐車場からの距離と階段)
津南町より車で30分程移動して、松之山へ。小説家 坂口安吾ゆかりの大棟山美術博物館(だいとうざんびじゅつはくぶつかん)の前に、こんこんと湧き出る水があります。


母「さあ、着いた。ここのお水もおいしいよ」
娘「しかし、よく知っているよね?本で見たの?」
母「ドライブの途中で迷って知ったんだよ。迷うのもいいね。」
木造看板には、柳清水とあり、「当館の裏五百米程の旧金毘羅林、現在坂口安吾碑のある林より湧出しています。銘酒「越の露」醸造用水として昔から使用されました」とありました。この水をチェイサーに、越の露を飲んでみたいものです。


大棟山美術博物館(十日町市指定文化財)
所在地:新潟県十日町市松之山1222
料金:美術館は有料(おとな500円)ですが水は無料です。
水の汲みやすさ:★★
車で1時間ほど移動し、南魚沼市へ。
曇っていて山が良く見えませんが、霊峰八海山のふもとにある集落でこの地域全体が非常によい気で包まれているような気もします。
もう間もなく、南魚沼産コシヒカリが収穫の時期を迎えようとしています。

金色の田園風景を眺めながら到着したのが、南魚沼市藤原区の雷電様の水 水くみ場。設置された案内看板によると、古より度重なる雷電と干ばつ災害に困り果て、祠を建てて雷神を祭ってより干ばつも落雷も収まったと伝わる地域。
この水を飲むことで願望が成就されると水を汲みに来る人が後を絶たなかったようです。
水源地までいくのが困難だったため集落で水祖神を奉納し、駐車場の近くにある水祖神から簡単に水が汲めるようになったのだそうで、今も多くの人がこの水を求めてやってきます。

水を汲める場所は2か所。龍の口から流れる水と、池にホースで流れる水。
龍の近くにはホースが用意してあり、口にホースを入れて、その端をペットボトルに入れると汲み水がスムーズです。

娘「美味しい水と神社って、深い関係があるんだね」
母「竜神さまの言い伝えがあるところも多いしね、調べてみると面白いかもしれないね。冬になると神社まで雪が多くて来れないからもう少し手前の主要道路に近い所にホースがひいてあって水をくむ人に優しいのよ。」
大自然で木々に囲まれているため、蚊などに刺される可能性がありますので虫よけスプレーなどの対策をおすすめします。
雷電様の水
所在地:新潟県南魚沼市藤原地区
料金:無料(お賽銭にご協力を)
水の汲みやすさ:★★+
本日の水くみドライブ、ラストはこちら。先ほどの雷電様の水くみ場所と同じ南魚沼市の毘沙門天地蔵清水。


母「ここは最近の一番のお気に入り。水量もあり、ペットボトルを置いて置けるから水が汲みやすくて腰も痛くない。」
娘「確かに、空のペットボトルは軽いけれど水を入れると支えているのが大変だからこうして水が簡単に汲めるのはありがたい。屋根もついているし。」

毘沙門天地蔵清水は、上越新幹線の停車駅でもあるJR浦佐駅から徒歩で15分、車で3分ほど。
地域に愛されている清水のようで、漬物樽やスイカ、野菜などが冷やされていたりします。水量のある水がパイプで3か所から勢いよく出ているのと、容器を置けるような高さに設置されているので、水の汲みやすさは地域NO1です。
特に駐車場はありませんが、空きスペースにみなさん車をとめて水くみをしています。いつ行っても、ほかに水くみにきているひとがいますが、勢いがよく3か所から汲めるため、並んだり長い時間待つことはありません。
毘沙門天地蔵清水
所在地:新潟県南魚沼市
料金:無料(協力費にてご協力を)
というわけで、今回は名水スポットを回ってみました。お米のブランドにこだわるように、名水を飲み比べてみたり、名水で出来た地酒と一緒に味わってみたり、ご飯を炊くときやお料理に使ったり、珈琲やお茶を入れてみたり。
お気に入りの名水を見つけて、美味しい秋をもっと美味しくしてみませんか。
雪の恵みがいっぱいの魚沼・津南エリアは名水の宝庫です。
*水は無料のところがほとんどですが、協力費やお賽銭をいれる場所を用意しているところもあります。この先もずっと美味しい水をいただくための整備費用となりますので行かれる際は、お気持ちをお願いいたします。