妄想旅人、南雲です。毎月「こんな人がこんな人と一緒に、こういった想いでドライブしている」というイメージで
ドライブをしていく妄想シリーズを展開しております。
今日は、免許取りたてで冬が来る前に少し運転練習をしておきたい娘と、
歴史や地学な好きな父との妄想ドライブです。
娘:「お父さん、今日休みでしょ?紅葉ドライブしようよ。私が運転するから」
父:「お前の運転か。ちょっと怖いな。」
娘:「大丈夫。助手席にブレーキついてるでしょ。」
父:「教習所じゃないんだから・・・」
そんなこんなの会話から、父と娘の紅葉ドライブスタート。
とはいえ、11月も後半になり山々は既に冬の準備を始めている。
過行く秋を名残惜しみながら、関越道塩沢石打ICから津南方面まで、山道を順調に進めてきた。
山越えが終わると平坦な道で運転もしやすい。津南の中心部に入ってきた。
父:「ちょっと寄りたい所があるからここ、左に曲がってくれ」
父のいう箇所を“左”に曲がると酒蔵の駐車場に到着。
ちょっと買いたいお酒があるというのでという父の後ろからお店の中に入ると、
お酒には見えないかわいらしい瓶に入った日本酒や苗場山の各種地酒のほか、津南の水、
雪下人参ジュースなどが販売されている。
父:「今日は、運転しないから飲んでもいいかな?」
娘:「えっ・・・。万が一ってこともあるから、買って行って家で晩酌しようよ。」


渋る父を“ドライブお疲れ様晩酌会”に付き合うことでなだめ、津南の水とニンジンジュース、
鑑評会で金賞を受賞したという苗場山大吟醸を購入し、目的の見倉橋へ向かう道中。
娘:「む・・・無理。山道、まだ無理。やっぱり運転代わって。」
父:「いきなりだな。さっき、お酒飲まなくてよかったよ。」
工事中で片道交互通行があり、細い山道ですれ違う車に苦労をしたのかすっかり運転する気をなくした娘は、
速攻車を停め助手席に移動してお菓子をポリポリ食べ始めた。
しばらく行くと、見倉橋の看板がでてきたので駐車場に車を停め、歩くこと8分ほどで目的地に到着。
さっきまでの空気より1~2度低いような感じで肌寒い。
紅葉の見ごろは過ぎていたが、中津川の水の色は「これは川なのか?」と思うほどのエメラルドグリーンが美しくて
、橋を行ったり来たり。
見倉橋は新潟の橋50選にも選ばれており、映画「揺れる」の舞台になったこともある木製のつり橋で揺れ具合もなかなかのもの。
重量500㎏以上はNGなので紅葉がピークだとなかなか橋を渡れないかも。
今日は空いててよかった。

きた道を車で少し戻りながら、父の要望で、津南見玉公園へ。
歴史や地学に詳しい父は、この公園のすばらしさを娘に伝えようと語りだす。
父:「向こう岸に絶壁が見えて、岩の部分、縦に線が入っているだろう。あれは柱状節理といって、
お前は大地の芸術祭のときにいったかな、清津峡などでもみられるのだけれど、溶岩が冷え固まるときにできたものなんだ。
この地域では石落としとも呼ばれていて、ジオパークの見所のひとつにもなっているんだ。・・・お~い、聞いているか?」
父のジオ話を聞きながら、娘はあちこちに走り出し写真を撮る。
娘:「紅葉が終わりかけで、この絶景なんだからピークに来たら凄い絵になるね。
ジオってフォトジェニだわ、知らなかった。」


少しだけ、娘が違くに興味を持ったのが嬉しかったのか、すかさず「もう一か所、行きたいところがある。」
という父の運転で、なじょもんというところに到着。
駐車場からすぐ建物に入るのかと思ったら、建物と反対側に歩き出した。
そこは、縄文ムラといわれる津南町の沖ノ原遺跡をイメージして復元された竪穴式住居で、
教科書で見たことのある縄文時代の竪穴式住居が建てられていた。
また、中央にはみなで集まって火おこしをするような場所がある。これは約5000年前の住居なのだそう。

いよいよ、建物の中へ。
父:「新潟県の津南町と長野県の栄村は苗場山麓ジオパークとして日本ジオパークに認定されたんだ。
階段状の河岸段丘が見られ40万年前、30万年前、20万年前などの古いものも比較的あたらしいものも
いちどに見られる日本一の河岸段丘だと思っているよ。津南には、湧き水が多いだろう。
湧き水のあるところに人々が住み、この地に8000年前から人が住んでいたと思われている。
沖ノ原遺跡では、5000年前の火焔型土器が発掘されたんだ。」
もはや、ジオガイドのような父の説明は止まらない。
それでもとても興味深かったので、しばらく聞いてみると教科書で見た「火焔土器」に目が行く。

中央に鎮座した大きな土器やガラスケースに入った土器が本物なのかと恐る恐る近づく。
父:「いや~、これ、レプリカなんだよね。でも、この中央のやつ以外、本物なんだよ。」
娘:「えっ。こんなに触れる位近くにあるのに、これ縄文時代のやつなの?本物?
え、5000年前の、あの教科書に載っていた縄文土器、え~っ。」
驚く娘を従えて、こっちに来てごらん。と、父。
そして、上から何やらごわごわした布をかぶせられる。
父:「はい、紐。 ネックレスは何色がいい?」
何だかよくわからない間に服を着せられ、紐をベルトにし、ネックレスをつけているうちに父がスタッフに声をかけ
何やら土器を持ってきた。父「あ、これ、本物の土器だから。5000年前の」

写真:*妄想では20代イメージのため顔にぼかしを入れています。
20代の女子だと思って、もやっとイメージしてください。
娘:「ひゃ~。縄文スタイルで縄文アクセをつけて縄文土器を持っている私、しかも本物。
あ、インスタ用に写真撮って!!卑弥呼さま~っ。」
興奮が収まらない。 だって、ほら、教科書でしか見たことないし。
すっごくお宝だよね、きっと。いいの?私が持っちゃって。
そのあと、石で作られた槍やらカモシカのはく製やら、なぜか人体模型などを見ながら資料室のような場所へ。
えっと・・・そこは関係者以外が入ってもよいのだろうか。
恐る恐る入ると、博物館では絶対にみない案内が。
「さわってください」


縄文土器、なんか可愛い。
帰りにお土産コーナーで、縄で編んだペットボトルホルダーやらトンボ玉がついたアンギンのアクセサリー(原料カラムシ)、
なじょもんのキャラクターと思われる「なじょむ」と「もんた」のメモ帳などを購入し、外へ。
あまりにハマすぎて、なじょもんを出るころには空の色が変わり、まるで切り絵や影絵のように美しい風景に。
この美しい景色は5000年前から変わらないのかと、ふと考えた晩秋のドライブ。
ちなみに、なじょもんは入館料無料、冬は有料でスノーシュー体験や各種体験(石器づくり・縄文ハンコ・鹿角アクセサリーづくり・小枝ランプシェード・わら細工・などなど)ができるのでお問い合わせを。
