
平成最後の春は、例年になく桜を長く楽しめましたね。そんな「いい春」をさらに味わい雪の恵みを探しに、豪雪地で知られる魚沼市へ向かいました。
まだ冬のまま雪をかぶった守門岳をのぞむ「玉川酒造」(www.yukikura.com)を訪問。
蔵の前には銀色のシートで覆われた高さ10m近い山!

写真は冬の様子です。
「『ゆきくら』という、いわば“万年雪のかまくら”で、大吟醸酒の原酒を2000本貯蔵・熟成しています」と専務の風間勇人さん。ちなみに雪の量は500t(!)とのこと。
「中は2~3℃の低温で、冷蔵庫のような振動もなくゆっくり熟成するので、まろやかな味になります」
お酒を仕込む水も雪解けの伏流水で超軟水なので、飲み口が軽くてやわらかなお酒になるそうです。おいしいお酒も“雪の恵み”なのですね。

蔵見学は年中無休、予約も不要で1人でも案内してくれます。
英語表記もあり、外国の人を案内するのにも安心。試飲コーナーではゆきくらで熟成した高級酒「大吟醸ゆきくら」など10種類が試飲できます。

売店にはお酒から作った女性向け化粧品もあります。6月末まで化粧品が全品500円オフになる「春の化粧品まつり」を開催。ほかにも年間を通してイベントを催しているので、通いたくなりますね。
次は春の味-山菜を求めて「さんさい共和国」の入広瀬地区へ。

残雪が目立つ大白川の民宿「喜楽荘」(uonumakirakusou.web.fc2.com)に到着。

「例年は積雪5mですが、今年は4m弱と少なめでした」とご主人の浅井藤夫さん。
少なくて4m……。山菜は採れているか伺うと「今はフキノトウぐらいで、5月半ば過ぎにはコゴメや木の芽、山タケノコ、ワラビが出ます」と浅井さん。
少し時期が早かったようなので、今回は同じ大白川の「民宿休み場」の昨年の山菜料理をご紹介。

おいしそうですよね。時期によって山菜が変わるそうですが、それも楽しみですね。
ここで注意! 山菜を採れる人と場所は決まっており、遭難の危険もあるので勝手に採るのは厳禁です。山菜採りを楽しみたい方は、喜楽荘のような利用客を山菜採りに案内してくれる宿の利用や魚沼市観光協会(www.iine-uonuma.jp)が6月の毎週土・日曜に開催する「山菜満喫の一日ツアー」(有料・事前申し込み)や、地元の団体などが主催する山菜採りりツアーに参加すれば、安全に楽しめます。
また「道の駅いりひろせ」(www.irihirose.jp)などの直売所で購入するのもお勧め。
「春が来ると厳しい冬を忘れるし、山菜の時期になると心も踊ります」と浅井さんはニッコリ。「それにね、山菜も雪で“しごかれた”方がおいしいですよ」
なるほど、山菜も雪の恵みだったとは驚きです。
次はラーメンを食べに小出の町へ。
魚沼市の食と観光を紹介したwebサイト「うぇる米魚沼」(www.welcome-uonuma.com)に、「魚沼は50軒を超える店がラーメンを出す隠れたラーメン王国」とあったからです。小出病院近くの1954(昭和29)年創業の老舗「丸川屋」へ。
主に店を切り盛りしているのは3代目の渡辺和生さん。

「燕や長岡のように魚沼ならではの特徴はないけど個性豊かですよ」と和生さん。
ちなみに丸川屋は「卵入り自家製熟成麺」と「豚肉中心の魚介系醤油味」が特徴とのこと。ラーメンを待つ間、2代目の辰美さんに「小出は食堂が多い気がしますが、なぜですか?」と尋ねると、「奥只見ダム工事のころは小出の人口は5,000人ぐらいでしたからね。だから1955(昭和30)年ごろには150軒はあったかな? 今はかなり減りましたよ」。

運ばれてきたラーメンは、モチモチの麺に、昭和の「中華そば」のように懐かしい味のスープ。帰省すると必ず食べに来る人も多いというのもうなずけます。
普通盛りも中盛りも600円(税込)でお財布にも優しい一杯です。ごちそうさまでした。
雪の恵みを知ったせいでしょうか。帰路に見た雪化粧の守門岳は来る時よりも優しく見えました。
