初夏の島旅。カンゾウ・岩ユリ・紫陽花めぐりと世阿弥を感じる能世界。

南雲純子
南雲純子

妄想旅人、南雲です。妄想?というと不思議に思うかもしれません。旅は誰とどんな想いで行くか?によって旅先や行程、選ぶ店、過ごし方がずいぶんと変わってきます。ニイガタドライブでは、毎月テーマを決め、「こんな人がこんな人と一緒に、こういった想いでドライブしている」というイメージでドライブをしていく妄想シリーズを展開しております。

それでは、妄想ドライブ旅、スタートです。今回の旅人はこちら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新潟県内在住50代女性(A美とB子)のドライブ島旅。バブル最盛期の若いころは海外リゾートにもたくさんいったけれど最近は国内で、その土地の文化や季節感を楽しむ旅がしたいということから旅先を選んでいる。

今回は、初夏(6月)の花々に包まれた佐渡へ、世阿弥に縁のあるお寺での能を体験しながら文化を感じる旅へ出発。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

高速道路を関越道から北陸道 新潟西ICで降りて、佐渡汽船新潟港まで約30分。カーフェリーならマイカーを乗せて佐渡まで行けるので車のままフェリーに乗り込み、2時間半の船旅を満喫。

A美「佐渡って、小学校の修学旅行に・・・40年前? あはは。40年前かあ。それ以来、来ていないんだよね。修学旅行楽しかったのに、なんで来なかったんだろう。」
B子「近くて、遠い佐渡。って感じだよね。海外リゾートには若いころさんざん行ったのに、なかなか佐渡に来ることなかったよね。」
A美「新潟県民あるあるで、小学生のときとか夏休みに佐渡に行った子が『夏休み、海外行ってきた♪』ってのあったよね。」
B子「あった、あった~。 でもさ、今回車持っていくからってジェットフォイルじゃなくて、カーフェリーにしたじゃない? で、ジェットフォイルと料金あまり変わらない特室船室にしたから、まるでホテルの客室みたいで豪華じゃない? こんな船旅も大人の休日って感じで素敵よね。」
A美「まあ、ついても運転あるから、シャンパン開けられないけどね(笑)。」

6月は、大野亀に咲き誇る50万株100万本のカンゾウが有名なので佐渡についたらまず大野亀へ向かうと決めていた。

快適な船内で2時間半おしゃべりをしていたらあっという間に佐渡に到着。フェリーの中で最初の目的地「大野亀」にカーナビをセットしいよいよ島ドライブスタート。港がある佐渡の両津はS字の形をしたような佐渡の右半分の真ん中位の位置にあり、これから向かう大野亀は佐渡の一番北の部分。なので島右側の海岸線に沿ってドライブしていく。

運転中のA美「今日、いい天気で良かったね。海、めちゃめちゃキレイ。」
助手席のB子「大野亀の近くに、二ツ亀っていうところがあって、トロンボ現象?とかいう潮の満ち引きによって離れ小島になったり陸続きになったりするところがあるらしいよ。前にインスタで見つけたの。行ってみない?」
B美「刑事(コロンボか)!? トンボロ現象ね。新潟にもあったんだ。小豆島のエンジェルロードとか有名だよね。行ってみよう。」

両津港より車で約50分。二ツ亀ビューホテルに到着。ホテルの駐車場に車を停めて下まで歩くらしい。海岸までは意外と階段がある。

インスタやフェイスブックを日常使いし、スマホが話せないB子は、「二ツ亀 階段 数」で検索すると誰かのブログタイトルに“350段の階段”と表示された。

350段はおりたくないが、途中まで行ってみようと景色の良い場所を求めて少し歩幅の大きな階段を下がってみることにした。

下り坂の中腹あたりで広場のような広い場所があった。ふと海を見ると、2つの亀というよりも、眠そうで瞼を晴らした犬のような大きな岩が現れた。この日は陸地と繋がっていた。そして海は限りなく青く透明で美しかった。

海水浴シーズンでもないが砂浜には人がいて楽しそうに動いていた。けれどそこまでいかなくてもここから少し眺めているだけでとても気持ちが良かった。

A美「あの、左に見えるのが これからいく大野亀じゃない?」
B子 スマホを取り出し「Google先生(MAP)、あと12分だって」

降りてきた階段を一気に駆け上り・・・とはいかないが、一歩一歩上り、車にもどったふたりは一路、大野亀をめざす。

大野亀の駐車場に着くと、数台の大型バスが来ていた。それから乗用車、バイク、なかには自転車も。

A美「あの坂を上ってきたんだ。すごいな。・・・そういえば、佐渡ってトライアスロンとか、自転車のイベントとか、あったよね。会社の人で出場したことがあるとかいう人がいたもん。」

B子「スポーツの島でもあるんだね、花の島かと思っていたけど。 そういえば、先週、カンゾウまつりだったみたいよ。ということは終盤なのかな。でも、すっごくキレイ。散策コースがあってお散歩できるのもいいし。あ、あれ、さっき行った二ツ亀じゃない?正面から見るのとまた違うね。」

A美「今、下の方ぐるっと回ってきたけれど、上の方まで行ってみる?」
B子「あ・・・いや、上はここから眺めるだけでいい。A美、行ってみたら?」
A美「私も、ここから眺めるだけでいいかな。それにしても凄い景色だね。」

大野亀でカンゾウに癒された後は、海岸線に沿うように佐渡の上の方をぐるりと回ってみることにした。所々、先ほどみたカンゾウとは違うよりオレンジ色の強い丈の短い花を見つける。

相変わらずスマホが手放せないB子は「Google先生に聞いてみよう」と言って、“佐渡 オレンジ ユリ”でその花を検索してみたところ、海岸線の岩々に力強く咲くオレンジの花の名前は、岩ユリといいこの近くに群生地、藻浦崎があることが分かった。

藻浦崎のある北片辺(きたかたべ)という集落には、夕鶴の里・夕鶴の碑があり、その碑から道路を挟んだ反対側に、藻浦崎公園があるという。

「鶴の恩返し」伝説は日本各地に残されているが、この地に受け継がれていた民話鶴女房を木下順二が戯曲「夕鶴」として発表したことで夕鶴の里として広く知られるようになったのだそう。

藻浦崎公園へ。公園の一番奥には漁の神様であるという龍王大明神を祀った祠があり、鳥居の手前には少し南国調な表情の狛犬が一対。

花の美しさに心を奪われるが、神社があるときにはまずはお参りしてから公園内で岩ユリ鑑賞を楽しむふたり。強い日差しを浴びて風に揺られながらも力強く咲き誇る姿がとても印象的な岩ユリ。茎が短いのも、風の強い海岸線に咲き続けるための生命の神秘なのかもしれないと、妙に納得したりしてみる。

今回の2大テーマ(花と芸能)のひとつである能を見に、次の目的地正法寺を目指すふたり。 その前に軽く食事を途中の飲食店で済ませてから。

【6月の佐渡は能月間】
6月の佐渡は能月間ともいわれ、ほぼ毎週末には各地の能舞台にて薪能が奉納される。

2019年6月の薪能スケジュール
1日(土)天領佐渡両津薪能 椎崎諏訪神社能舞台
2日(日)大膳神社薪能鷺流狂言 大膳神社能舞台
8日(土)春日神社薪能 春日神社能舞台
12日(水)牛尾神社例祭 宵宮奉納薪能 牛尾神社能舞台
15日(土)草苅神社薪能・鷺流狂言 草苅神社能舞台
15日(土)正法寺ろうそく能 正法寺

その中で、今回訪れたのがこちら、正法寺のろうそく能。

【正法寺ろうそく能】
世阿弥が逗留した正法寺で年に一度開催されるろうそく能は、屋外の能舞台で行われる薪能とは異なり、本堂でろうそくの灯りの中で行われる能であり、開演前には表千家による茶席や装花でのおもてなし、古典芸能開設者による能を識るための講演が行われる。

開演前に行ったふたりは、お茶とお菓子でおもてなしをうけ、美しく装飾された花々に出迎えられながら本堂へ。

A美「正法寺だけ、薪能じゃなくて ろうそく能なんだ。外じゃなくてお寺の中でやるんだね。」
B子「能の大家、世阿弥が佐渡に配流されて、このお寺に住んでいたことがあるらしいよ。年に1度だけ、世阿弥がもってきたというすごいお面が公開されるんだって。今回はそれを見てみたくて。」

・・・ろうそく能・・・(公演中の写真撮影はNGのため写真はありません)

B子「会場、というかなんだろう、この一体感が凄かったね。一気に室町時代に旅した感じ。」
A美「少しだけ電気があったけれど、当時はもっと暗い中で演じていたんだよね。息を止めて見入ってしまった。」

B子「特別公開のお面を見せてもらおう。」

ご住職の話では、神事面べしみというこのお面は、鎌倉時代に作られたものだそうで、世阿弥が干ばつの際にこの面をつけて舞ったところ、恵みの雨が降り、それ以来“雨ごいの面”として知られるようになったのだそうで、新潟県の有形文化財にも指定されている大変貴重なものなのだとか。

A美「すごい体験だったね。室町・・・鎌倉時代まで旅した気分。」

外に出ると美しい月が、歩く道を照らしていた。この月は、ずっと何世紀もの間私たちを照らしてくれていたんだなと思うとなんだか感慨深く、友人との楽しい話もつきることなく 夜が更けていくのだった。

翌日は、佐渡金山やトキや、たらい舟といった佐渡の定番観光スポットをまわるのもいいけれど、せっかく花の旅・歴史の旅にでたのでゆっくりと花を愛でながら時代を感じてみたくて、弘法大師空海が開山したと伝わる名刹“蓮華峰寺”へ。 ここは、大阪の金剛寺・奈良の室生寺と共に真言宗の三大聖地と言われており国の重要文化財・国の有形文化財がいくつもあるのだそう。

佐渡には、美しい花々が咲くお寺があり「佐渡三大花寺」とも称されているとのことで、こちら蓮華峰寺は、紫陽花の美しさから紫陽花寺ともいわれているとGoogle先生が言っていた。

A美「紫陽花は7月が見頃?少し早いかな。でも、種類がたくさんあって凄くキレイ」
B子「ガクアジサイが好きなんだ。あるかな。この八角の建物と一緒に撮るとなんだかよさそう。佐渡ってインスタ映えスポットがたくさんあるね。」

A美「景色の良いところ、歴史がある所、いろいろあるよね。でも、ここも意外に階段多い・・・。あ、でもこの池、蓮も咲いていてキレイ。」
B子「そうだね。何気なく今回の旅、歩いたね。二ツ亀も大野亀もそうだけど、いつまでも健脚で歩きたいよね。」
A美「佐渡って広いから1泊だと結構きついよね。温泉とかもあるから今度は2泊ですこしゆっくりしてみる?」
B子「“佐渡 世阿弥”で検索したら、世阿弥が絶賛したくらい佐渡の紅葉ってすごいらしいよ、今度は秋に来てみる?」
A美「B子の情報収集能力はすごいけどさ、たまにはスマホじゃなくて景色見ようよ。」
B子「いやいや、大丈夫。だって写真めっちゃとったから。インスタ見てみる?」
A美「きゃ~。これ、私が食べたり寝たり、歩き疲れて年寄みたいなくたびれた顔してる写真ばっかじゃ~ん。やめて~。」

修学旅行も楽しかったけれど、大人になった今だからこそ楽しめることがあるのだと知った初夏の佐渡旅。 帰りにもらったパンフレットが可愛らしくて、素敵なカフェや今回いけなかった地域にも素敵な場所やお店もたくさん載っていたからまた時間をつくってゆっくり旅してみようと思う。次は、秋、かな。

南雲純子
南雲純子
新潟県 出身

新潟県生まれ。雑誌・インターネット予約サイトじゃらんにて19年間、旅行・観光の仕事に携わる。『温泉・その土地でとれた旬を食べる・美しいものを見る・人とのふれあい・感動する・ぐっすり眠る・体験する・伝統歴史に触れる・ドライブ・絶景を写真に収める・情報発信』・・・好きなコトを並べてみたら、みんな旅先にあった。

趣味が高じて、温泉入浴指導員・温泉ソムリエ・国内旅行業務取扱管理者・調理師などの資格を取得。

2014年4月~2016年3月まで2年間、佐渡の観光行政に携わったため、実は地元ネタより佐渡に詳しい。佐渡を愛しすぎて今でも月に1回は必ず訪れ、日々ブログ佐渡旅にて情報発信を行う。

地域活性と観光に関わる会社を2016年10月に立ち上げる。今でもひと月の1/3はどこかを旅している。ニイガタドライブの取材を機に、これらは地元中越エリアにももっと出没しようと心に誓う。

【管理HP・情報発信ブログ】
■越後湯沢Active&Relax http://yuzawa.koiwazurai.com/
■湯沢日和  http://blog.goo.ne.jp/from-yuzawa
■佐渡旅 http://sado-tabi.blog.jp/

体験コース

DRIVING COURSE

  • 1日目
【E8】北陸自動車道 新潟西IC

車で約25分

佐渡汽船 新潟港ターミナル

船で約2時間35分

佐渡汽船旅客ターミナル

車で約44分

二ツ亀

車で約3分

大野亀

車で約36分

藻浦崎公園

車で約40分

正法寺

車で約35分

蓮華峰寺