今回は長岡市の和島地域へ。
それほど広くはありませんが酒蔵が2つあることから分かるように「名水の里」で、おいしいものもいっぱいあるそうです。
そして良寛さまが貞心尼と出会い、その生涯を終えた地です。
北陸自動車道西山ICを降りて、国道116号を新潟市方向へ走ると左手に「池浦酒造」の白い土蔵が見えてきます。

平日限定ですが、事前予約をすれば蔵見学ができます。
社長であり酒造りの総責任者の杜氏でもある池浦隆太郎さんが案内してくれました。

創業は江戸時代の1830年というから200年近い歴史があるのですね。
太い梁の蔵は歴史と風格を感じます。
仕込みに使う水は裏山からの湧水だそうで、草刈りなどをして水源を守っているそうです。「酒屋の命は水ですから」と池浦さん。
池浦酒造のある両高地区に「霊泉井戸神様」という名水が湧き出る場所があると聞いて行ってみました。
澄んだ水がとめどなく流れています。
一口飲み「おいしい!」

次に訪ねたのは、築85年の小学校をリノベーションし、フレンチレストランとパン工房がある「和島トゥー・ル・モンド」。

黒光りする階段を上がると教室がそのまま残されています。
地球儀や鍵盤付きハーモニカ、廊下には一本の黄色い傘……小学生の頃を思い出しました。

レストラン「バーグ」はとてもおしゃれな空間。

ランチを食べたかったのですが要予約とのことで断念(ディナーも要予約)。
こちらの料理は和島地域の野菜や出雲崎の魚介類を使い、地元の久須美酒造と池浦酒造の日本酒を提供。徹底的に地元産にこだわり、日本酒と料理のマリアージュも楽しめます。

パン工房「アルモニエ」のパンも小麦以外は地元産の食材を使用。

斎藤篤マネージャーによると「料理もパンも敷地内に湧く新潟県の名水『霊泉』を使っています」とのこと。
トゥー・ル・モンドは勤労型の障害福祉サービス所で、スタッフの多くは障がいのある人たちですが「調理師免許を取るスタッフもいます」と斎藤マネージャー。
ちなみに「トゥー・ル・モンド」とはフランス語で「みんなで」を意味するそうです。
和島地区のもう一つの酒蔵、漫画「夏子の酒」のモデルになった「久須美酒造」(1833年創業)へ。

蔵見学はしていないので久須美賢和社長にお話だけ伺いました。
久須美家の屋号はずばり「清水」。2004年の「7.13水害」で水源の裏山も被害を受けましたが、幸い水質に影響はなかったとのこと。
「新潟県の名水」にも選ばれた水を守るため蔵人と社員たちが山の手入れをしているそうです。
お腹がすいたので「道の駅良寛の里わしま」へ。
築約180年の古民家を移築した「もてなし家」は太い梁や高い天井が見事です。
お昼は、和島産コシヒカリ、具は梅干し、しゃけ、おかかの3種類が入った。150gと大ぶりの「良寛むすび」(170円)と、地元産の野菜がたっぷり入り、米粉ともち粉で作っただんごの入った「だんご汁」(380円)を注文。

古民家の雰囲気にぴったりのやさしい味でした。
食後のデザートに和島地域で飼育されている「ガンジー牛」のミルクで作ったソフトクリーム(400円)を堪能。

濃厚だけれど舌に残らない爽やかさは、夏は行列ができるほどの人気とのこと。
買おうと決めていた池浦酒造の「和楽互尊」と久須美酒造の「清泉」を購入。

ラストは、道の駅駅長で和島観光協会会長の山田勝さんに勧められて「良寛の里美術館」を見学することに。
良寛と愛弟子の貞心尼が向かい合った像に迎えられて館内へ。

遺墨を見ているとその柔らかな書から、やさしい人柄と名水のように透明な心が見えるような気がしました。

和島地域は低い里山に囲まれたのどかな場所です。
花が咲く時期になったらまた来たいと思わせる、素敵な土地でした。