妄想旅人、南雲です。妄想?と不思議に思うかもしれません。旅は誰とどんな想いで行くかによって行程、選ぶ店、過ごし方が変わってきます。「こんな人がこんな人と一緒に、こういった想いでドライブしている」というイメージで妄想シリーズを展開しております。
それでは妄想ドライブ旅、スタート。今回の旅人はこちら。
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旅人:新潟市出身・在住明日香26歳。同僚の七海(上越出身)と上越ドライブ。
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七海「今日は、私に任せてよね。高校までこっちに住んでいたから。」
明日香「上越って意外と来る機会なくて。学生時代に食べたミサ、だっけ?ラーメンだけは覚えてる(笑)」
七海「ミサも美味しいけどね、それ以外もちゃんと覚えてよ(笑)。今日のテーマは大人女子の秋旅in上越。まずはこちらの百年料亭宇喜世!」

明日香「茅葺の門構えも立派。」
七海「江戸時代から仕出し屋として創業し、明治時代からは料亭になったんだって。家族の特別な日はここで過ごしたんだ」

明日香「松茸御膳、贅沢だね。最近家にこもっていたから、なんだかお泊り旅行に来た気分。」

大粒の雨が庭園を湿らせている。横並びになっておしゃべりというよりはしっかりと料理と雰囲気を味わった。食後の葛キャンデーは「秋の野」という名前が付けられていて一層気分を上げてくれた。

七海「女子旅!ということでこんな体験を入れてみたよ。江戸時代末期に建てられた町屋「旧今井染物屋」で高田の伝統産業バテンレース造り!どう?」

明日香「む、ムズカシイね、これ。でも、ハマりそう」
七海「だね。通っちゃう? そういえば、今日海に行きたかったんだよね。でも凄い雨。 ねえ、喫茶店、行ってみない?」
明日香「そうそう、近くにあるのに普段なかなか夕陽を見に海に行かないよね。喫茶店? いいね、レトロな感じ」

明日香「童話の世界!かわいい。紅茶の種類もいっぱいだ。ねえ何飲む?」
七海「マスター、今日のケーキは何ですか?」
明日香「え?ケーキ?さっきたくさん食べたのに。私もう入らないよ」
七海「じゃあさ、ピザにしよう」
明日香「え? ちょっと会話がかみ合ってないんだけど」
大丈夫大丈夫。といって、七海が頼んだピザは、いなかピザというものだった。

店内をみまわすと色々と面白いものがあった。カウンターの椅子は牛乳を入れるボトルだ。マスターに聞くと県内の塚田牛乳の廃材をもらい椅子を作ったのだそう。その他店内にはマスターの作品や写真、ジャズのレコードやドライフラワーなどが飾られている。
七海「ここ、薔薇の時期はすごいんだよ。もう人気がありすぎて入れない」高校時代からよく訪れていたという七海がはしゃぐ。
そうこう言っているとピザが出来上がった。

明日香「おかかとのり、ん?なにこれ?」
“あなたのPIZZAは当店OPEN以来332035枚目です。”
七海「これを集めると、ピザMサイズくれるんだ。良く集めたっけ、懐かしい」
想い出のピザをふたりで頬張った。おかか、のり、チーズだけだと思っていたらチーズとは異なるもっちり感と弾力、歯ごたえのあるものが口の中に飛び込んできた。
明日香「え?これお餅?」
七海「そう、美味しいでしょ。おなかいっぱいでも食べられちゃう」
その時だった。ゴロピカ、ズド~ン
もの凄い光ともの凄い音を立てて雷が近くに落ちた。たぶん。さすがに今日の夕陽は諦めよう。
しばらく話し込んでいると、分厚く黒い雲はあるが雨が上がったようだ。「ご馳走様でした、また来ます」といってお店を後にし、海へ車を走らせた。
七海「雲、黒いね。でも、もしかしてイケるかも」
長年海辺で過ごした七海には夕陽がでそうか雲に隠れそうか、なんとなくわかるらしい。そして、海岸に到着した。
ちょうど、なおえつうみまちアートというイベントも開催されていて海辺にも数名の人がいた。

明日香「うわ~。浮世絵みたいな色合い。今日は、宇喜世で始まり、浮世で終わる(笑)、そんな感じ? でも、こんな色になるんだね。 一瞬の雲隠れだけど余計に空のグラデーションがキレイに見える気がする」
七海「あ、出てきた。あの豪雨と雷のあとでこの夕陽は奇跡でしょ。癒される~」

明日香「上越、いいね。古き良き時代の良い物がたくさん残っていて江戸から明治、昭和まで旅したね。もちろん、夕陽も良かったし」
七海「でしょ。まだまだいい所いっぱいあるよ。今度はぶらり高田の街歩きをしたいなあ。高速だと1時間15分位だからすぐだね。次の休みも来ちゃう?」