妄想旅人、南雲です。妄想?と不思議に思うかもしれません。旅は誰とどんな想いで行くかによって行程、選ぶ店、過ごし方が変わってきます。「こんな人がこんな人と一緒に、こういった想いでドライブしている」というイメージで妄想シリーズを展開しております。
それでは妄想ドライブ旅、スタート。今回の旅人はこちら。
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旅人:小千谷市在住。激務に追われて頭と心がパンクしそうな麻美36歳。
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麻美「あ~っ、頭の中がごちゃごちゃしてきた。もういっぱいいっぱい。来週のプレゼン資料が間に合わない。アイデアも煮詰まってもう何も浮かばない。」思わず漏れた独り言に一つ下の同僚が反応した。
加藤「明日の休み、ドライブしてきたらどうです?すっきりしますよ。麻美さん、ほらいつだったか新潟駅で安田ヨーグルトのソフトクリーム食べたら頑張れるって言ってたじゃないですか。新潟通り越して、安田まで行ってきたらいいじゃないですか。っていうか、たまには僕も頼ってくださいよ。仕事抱えすぎですよ。」
翌日。確かに家にいてもすっきりしないなと思い、少し遅めに起きてから思い立って出かけた。加藤に言われたら、安田ヨーグルトの気分になってそれ以外は予定を決めずに高速に乗った。

今回はせっかく安田にきたのだからと悩みつつ、やっぱりいつものキャラメルソフトを注文した。でも、ワッフルを添えて。

ワッフルが焼きあがるまでの時間、店内をうろうろしていると可愛い木製のスプーンが目に入った。帯もついて文庫本みたいだ。阿賀の作家さんが作っているようだった。

手元のブザーがなり、ワッフルの出来上がりを知らせてくれた。受け取って外のベンチに運び頬張る。温かさと冷たさと、優しい甘さが広がる。なんて幸せなんだろう。やっぱり、脳の疲れには甘いものだな。
スイーツの後だけれど、近くでランチを食べようっとスマホで検索してみた。今日の気分は肉だ。車で3~4分のところに美味しそうなお肉が食べられるお店を発見した。
到着してみると、あがの姫牛や純白のビアンカといったご当地肉のほか、地元阿賀の養殖うなぎ「あがの夢うなぎ」がメニューに並んでいる。ご当地牛VSうなぎ!この贅沢なメニューに悩んだが、当初食べたかった「あがの姫牛ステーキ丼」を食べることにした。

脂身からじゅわっと甘さが口の中に広がる。ジュレタイプのソースがしっかり絡んで食欲をそそる。ついさっき、ワッフルソフトを食べたのに、こちらもあっという間に完食してしまった。
ようやく、「ふ~っ」とひと息ついていると、後ろの席のマダムたちの会話が聞こえた。
「今日、大吉だったからおみくじ持ってきちゃった」
「今日も旦飯野神社(あさいいのじんじゃ)行ってきたの?」
「なんか、すっきりしたいときに行くんだよね」
なんだか気になって、「あさいいの神社」で検索すると公式HPや観光協会のHP,個人のブログなどたくさんの情報が出てきた。「隠れパワースポット」「開運」「寛大」「サービス精神旺盛」・・・。パワースポットや開運はわかるが、寛大やサービス精神旺盛という言葉を神社の紹介で見つけることがあまりないため、読み進めると興味深いことが書いてあったので、ナビにいれて神社に向かうことにした。

そろそろ到着、というところで優しいピンク色ののぼり旗にふと、心を奪われた。ほっこりとした字体で大きく書かれていたのは、「大丈夫(だいじょうぶ)」という文字。次の瞬間、涙がこみ上げてきた。
「あ~、私、本当にいっぱいいっぱいだったんだ。今気づいた。」 頭がいっぱいいっぱいだったのは、気付いていた。時間に追われて仕事が全く追い付いていなかったから。でも、心もいっぱいいっぱいだったんだ。

車を停め、手水から流れる地下水で手を洗い、赤い鳥居をくぐり階段を登る。神門の先に長い階段があり一歩一歩登っていく。

いよいよ、本殿へ。多くの記事で書かれていた興味深いことというのは、本殿内にあった。
おみくじ(無料です) 神様のおさがり福あめ(ご自由にお持ちください)

おみくじと福あめをひとつづつ頂いて、境内を歩いた。途中、耳の不自由な方を助ける雷神社、婦人病や産後を守る神様である三峰神社、ご縁を結ぶ結桜や梅花石、子宝に恵まれるという御神霊石を通り、もりのこみちに出た。緑に囲まれた美しい空気に浄化された気分を味わいながらおみくじを開いた。

「吉。迷わずいくと良い。協力者が現れる。早めの行動がよい。」 吉かどうか、というよりこの言葉が響いた。 もやが晴れた気がした。そっか、私一人で抱えて迷いすぎてたんだ。

授与所に立ち寄ると、カラフルな「安鯛守」を見つけた。赤ちゃんの小さな手袋のような手のひらにすっぽり治まるサイズ。それからメタルパステルカラーのステッカーと、越後亀紺屋藤岡染工場製の半手ぬぐいと、自分で日付を記入する御朱印を頂くことにした。無人販売所のようなスタイルで料金をお賽銭箱に入れる仕組みだったため、金額を間違えないように納めた。
おみくじや福あめ、御朱印など「無料」なものが多くて驚くのだが、この無料というのは神様のおさがり という意味なのだそう。無料だから、0円、タダでもらえてラッキーというものではない。お気持ちとしてお賽銭箱に入れて納めよう。そのお賽銭がまた形を変えて、神様のおさがりとして誰かの手に渡る。そんなご縁もあるのだとか。
帰り道は来るときとは違った心境で、頭もクリアだった。「いいアイデアが浮かびそうな気がする」休日を家でモヤモヤせずに、ドライブして本当に良かった。月曜日になったら、木製スプーンをお土産に加藤に相談してみよう。