今回はモノづくりの街・燕市へドライブしてきました。
北陸自動車道三条燕ICから、まずは燕のモノづくりの歴史を知ろうと、「燕市産業史料館」http://tsubame-shiryoukan.jp/ へ。

燕の金属加工は水害に苦しめられた農民を救うための副業として、「和釘」作りに始まり、銅板を叩いてヤカンなどを作る「鎚起銅器(ついきどうき)」「ヤスリ」「煙管(きせる)」などに発展していったことを知りました。
銘品ギャラリーでは「鎚器銅器(ついきどうき)」や「煙管(キセル)」を芸術の域にまで高めた職人さんたち作品が並びます。特に人間国宝玉宣夫(たまがわのりお)さんが、種類の違う金属を何十枚も熔着させて、板を削り模様を浮かび上がらせる「木目金(もくめがね)」という技法の作品の美しさに圧倒されました。
新館ではノーベル賞の授賞晩さん会にも用いられている燕の洋食器が展示されています。

また、日本の食文化の変化と、それとともに発展してきた燕の洋食器の歴史が一目でわかる展示は、とても面白いですのでぜひ見てください!ほかにも燕の高度な技術、そして様々な金属加工に挑戦してきたことが分かる展示も見逃せません。

併設の「体験工房館」では予約なしで、純銅タンブラーと錫(すず)のショットグラスやぐい呑みへの「鎚目入れ体験」(2,000円~3,000円)、スズの板からぐい呑みを作る「ぐい呑み製作体験」(2,800円)、同じく錫の板を皿にする「小皿づくり体験」(1,200円)などができます。

美しい鎚目の銅器を目指し、ぐい呑みへの鎚目入れ体験をチョイス!
「回しながら、鎚を打っていってください」と言われたものの、打つ場所がずれてしまいます。「ときどき内側を触って鎚目があるか確認してください」。うん、いいんじゃない—。

構想通りにはなりませんでしたが、それも味。世界に一つだけのメイド・イン。自分のぐい呑みだ!どうだ!(銅だけに)。
ほかにも職人さんが指導してくれる本格的なから鎚起銅器や彫金体験も曜日限定でしてます。こちらは予約が必要です。
お次は、刃物の「藤次郎株式会社」の「藤次郎オープンファクトリー」へ。ここでは同社が包丁を作っているところを間近で見られるそうで、わくわくします。
「藤次郎」といえば国内の包丁トップブランドで、世界にもその名を知られています。
エントランスを入るとさっそく「ドンドン」という力強い音が聞こえます。まずはその音の発信元「鍛造(たんぞう)小屋」へ。炉で熱されたハガネをハンマーで少量生産の包丁を叩きます。赤めたハガネを鍛錬し、包丁の形にしていきます。日本刀を作る際にも使う「打刃物」という技法だそうです。注文品やハンドメイド包丁はここで作られます。

ハガネを叩く音、飛び散る火花、金属の匂い。真剣にモノづくりに向き合う職人さんの気迫が背中から伝わってきます…。これは自分の五感すべてで感じなければ損です。
次は量産品の工場へ。量産品と言っても、13工程以上あるという包丁づくりで、一部の工程以外は、ほぼ職人さんの手作りです。職人さんが、包丁を高速で回る研磨機にかけています。包丁は使っているうちにどうしても傷がついてしまいます。この傷を目立ちにくくするために、「目」(ヘアライン)を入れる「目通し」という作業です。

しかも傷を目立ちにくくするだけでなく、縦に使う包丁には縦のヘアラインを、パン切包丁のように引いて使う包丁には横のヘアラインを入れるそうです。

素材の味を生かす日本食が世界的なブームになっている現在、藤次郎の包丁も海外需要が多くなり、出荷の半分は海外だそうです。
この日はまだ作業をしていませんでしたが、包丁に命を吹き込む「刃付け」は荒砥ぎから仕上げ研ぎまで、いくつもの砥石はもちろん牛革まで使って丁寧に刃を研いでいくそうです。よい刃付けによって生まれる切れ味は、作業が素早くできるだけでなく、料理の味まで変えてしまうのです。また、包丁は使っているうちに切れなくなったり、刃こぼれしたりします。そのために、藤次郎は研ぎ直しや修理も行っているとのこと。

そして同社を代表する製品といえば、美しい模様が特徴の「ダマスカス鋼」。これはハガネを中心に、硬さの違うステンレスを交互に重ねた63層の素材を叩いて模様を削りだすのだそうです。ん?「産業史料館」で見た「木目金」の手法だったのです。模様は二つと同じものがないため「世界に一本」の製品です。

こちらではショップも併設しており、ここで職人さんの優れた技術と魂がギュッとつまったセクシーな包丁を買うことができます。

ここでお得情報!「10月26日」はそう、文字通りトージローです!
この日に合わせ、2022年は10月24日(月)から30日(日)まで「藤次郎ウィーク」として、包丁研ぎ直し特別価格対応(300円~500円)。フルーツナイフ製作体験(500円)、料理教室やアウトレット商品販売などが予定されているほか、カレーなどのキッチンカーも来るそうです。ぜひ行ってみてはいかがでしょうか?
さて昼食に何を食べましょうか?
燕と言えば、職人のために考えられた「冷めにくく、伸びにくい」背脂極太麺ラー麺もいいですが、今回はこれまた名物「釜めし」を食べることにしました。
燕では工場の「商談」「難しい仕事の納品終了」などのときに釜めしを食べる習慣があったそうで、「釜めしマップ」もあるほどです。
1959(昭和34)年創業の老舗「釜めし松月」(燕市桜町277)で「五目釜めし」(1,045円税込み)を注文。

シイタケやエビ、タケノコが入った釜めしのふたを開けると、ふわーっといい匂いの蒸気が鼻をくすぐります。それにしても釜からしゃもじで茶碗に盛るのってどうしてこんなに楽しいのでしょう(笑)

お腹もいっぱいになったので、ちょっとのんびりしようと「道の駅 国上(くがみ)」https://www.michinoeki-kugami.jp/ を目指します。
今年リニューアルして「デイキャンプエリア」、「手ぶらBBQ」(ともに要予約)ができました。館内も充実して「313ファーマーズマーケット」で地元の農家さんが育てた新鮮な農産物や燕市内外から集めたおみやげなどを買えます。

また、訪れた日は残念ながら売り切れだったものの「ベーカリーバス のらの休日」で自慢のコッペパンはじめ、いろいろなパンを売っています。

さらに「道の駅国上セレクト」では、燕地域のメーカー製のアウトドアグッズも購入できるきます。ということは…ここでアウトドアグッズを買ってデイキャンプもできるではないですか!

買い物は後にしてまずは「足湯テラス」へ。無料なのがうれしいですね。足だけでも体がポカポカして、疲れが取れます。あーいいなあ…。ファミリーで来ていたかわいい兄弟も「気持ちいいよ!」とにっこり。

のんびりした後は買い物タイム。BBQをしたときに缶ビールがぬるくなるのに困っています-ということで、350mlの缶ビールがすっぽり入るホルダーを購入。このホルダー二重になった金属の内部が真空になっています。
もちろん燕の会社が造ったものです。

三条燕ICへ向かう途中、ぐい呑みで飲むときのつまみを買い忘れたことに気が付きました。どうしよう…。と、農産物直売所「ほのか」(燕市太田705-1)を発見!ここなら何かあるはずと、立ち寄りました。

地元農家さんが自慢の品を持ってくるとあって、おいしそうな野菜たくさんあります。日本酒をちびりちびりやるにはぴったりの食用菊「カキノモト」。ほかになにかないかなと探していたら、「鶏肉のレモン和え」がありました。吉田地区の小学校給食の定番メニューで“ソウルフード”を食べたかったことなかったので即カゴヘ。

レジに並んでいたら「新発売 燕プリン」という文字を発見!市内の牛乳屋さんとお菓子屋さんがつくったものだそう。300円と安かったので購入。
燕の職人技のすごさを実感し、地元グルメも楽しめた充実した旅でした。