妄想旅人、南雲です。妄想?と不思議に思うかもしれません。旅は誰とどんな想いで行くかによって行程、選ぶ店、過ごし方が変わってきます。「こんな人がこんな人と一緒に、こういった想いでドライブしている」というイメージで妄想シリーズを展開しております。
それでは妄想ドライブ旅、スタート。今回の旅人はこちら。
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旅人:長岡市在住 30代 知佳。年度末で日々の仕事に追われている。今日は久しぶりに何も予定がなく、家でのんびりしていた。
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姉『知佳、今何してる?』姉から電話が入った。
知佳『あ、お姉ちゃん。家でのんびりしていたよ』
姉『良かった。午後から付き合ってよ。ドライブ行こう。』
マイペースでちょっと強引な姉の誘いは断れない。
ハンドルを握りながら『最近、発酵食品にハマっていて。』と切り出した姉は最近お肌の調子が良いらしい。『知佳もさ、最近忙しそうだったから、栄養補給しておかないと。』少し強引だが、妹想いだ。
到着したのは、上越市にある『坂口記念館』というところだった。

坂口博士という応用微生物学の世界的権威が上越市出身で、その研究のおかげで現代の私たちに様々な効用をもたらしているのだと、姉が語った。
入り口を入るとすぐ酒杜り館があり、古くからの道具が展示されていて酒造り唄が流れている。私はお酒を嗜まないのでそこは通り過ぎるように2階へ上がった。
2階では博士の業績や略歴、関わった偉人達などの紹介があり、博士が取り組んだ発酵や醸造などの研究のおかげで味噌や醤油、調味料の技術が進んだことを知った。

『甘酒ないかな。』という私の独り言に、受付の方が『隣の楽縫庵でご用意できます。』と案内してくれたので、博士が愛した椿柄の湯のみで温かな甘酒を頂きました。ちょうど、お雛様も展示されていてほっこり。
売店でも、甘酒を見かけたので手にとってみると、そこには「東大の甘酒」という表記が。

『坂口名誉教授収集麹菌株 博士の昔こうじ甘酒 東京大学生態調和農学機構で収穫したお米を使用しています』とパッケージに記されている。甘酒は飲む点滴というが、この甘酒は頭にも効きそうだ。
帰りがけ、壁に貼られていた『さかきん醗酵鍋』のポスターに目が留まり、対象店に名前を見つけて、『予約なしで、今から2名でも食べられますか?』と聞いたところ、『5名以上で7日前までの予約となっております。』とのことで断念、坂口記念館をあとにした。
※『さかきん醗酵鍋』とは…上越産の酒粕を入れたトマトベース、または、みそベースのスープに、上越産の発酵食品や野菜、魚介類などが入った鍋のこと。各飲食店で違う味が楽しめる上越の新名物。
次に向かったのは、町家造りの建物が並ぶ、雁木のある街並みが美しい高田駅周辺だ。
まずは町家交流館高田小町へ。

角巻という雪国独特のコートが用意され、借りて撮影もできるようだった。
散策マップを手に歩いてみることに。
瞽女ミュージアムに立ち寄ってみようと旧奥州街道を歩いてみると、通りの名前も歴史を感じる。雁木の通りを歩きながら、美しい和小物にひかれて一つ手前のお店に立ち寄った。

高田の美しい風景や可愛らしいイラストのポストカードがあり、その中でひときわ目を引く、白地に墨一色の版画が。そこには、高田瞽女が描かれていた。

数枚を選んでいると、女将さんが声をかけてくれた。
『町家の日というイベントをやっているので、よかったら見ていきませんか』

町家独特の急こう配の階段を登り、座敷中央ほどにある障子をあけて頂くと店舗が見えた。
道路と反対側には、広々とした庭園が。『雪国の町家は雪捨て場がないから、どの家もこうして庭を作っておくの。』と女将さんが話をしてくれた。楽しい時間はあっという間に過ぎていく。この日、瞽女ミュージアムは定休日。
『予約なしでも醗酵鍋食べられるお店見つけた~。ここから近いよ』。という姉の言葉に急にお腹がすいてきた。

高田ターミナルホテル1階の大黒屋に到着し、メニューには醗酵鍋以外にも発酵食の料理があったが、まずは鍋をオーダー。

酒粕の香りがたつ、まろやかな味噌スープのなべ焼きちゃんぽん仕立て。かんずりと酒かすで身体が温まり、コートを羽織らないまま外に出た。

外に出るとすぐに見えるステンドグラスを配したレトロな高田駅が、夜を迎える青い色に光を放って美しかった。
*大黒屋でのさかきん醗酵鍋の提供は、3月29日~4月12日までがお休みとなります。